2016年 10月 04日
この夏のこと
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あっという間に過ぎたようなこの夏、
仕事でバタバタしていたのはいつものことだったりするのだけど、
いちばんの騒ぎは私の母の体調が大混乱だったこと。
体調の大混乱?
いや、まさにそんな感じだったのです。
きっかけは帯状疱疹。
その診察に行って、胸の腫瘍が見つかった。
腫瘍の検査をしている間に、帯状疱疹の激痛に悩み、
紹介状をもらってペインクリニックなるところにかかり、
ブロック注射をして痛み止めをこれでもかと飲み、
痛みはおさまってきたものの、薬の影響か頭がぼんやりし、
横になっていることが多くなり、それにともなって体力が低下。
それでも、少しは快方に向かっているのかと思っていた頃、
便秘にと処方された薬がきっかけで下痢が止まらなくなり、
怖くなって病院に行ったら腸の検査入院になり、
検査の結果は特に心配なものはなく退院か…と思ったら、
敗血症にかかり、血圧が急低下し、
いっときは、もしや…と覚悟を決めたのだが、
処置が早かったせいか急速に持ち直し、
ゼッタイに家に帰るという(根っからの負けず嫌い)意思が勝って、
医者もびっくりの回復力で2週間で退院。
今は、実家でそろりそろりとリハビリをしながら
落ち着きを取り戻しつつある。
ちなみに帯状疱疹の激痛はこの騒ぎの中、いつの間にか収まった。
ふ〜、もうね、書くと十数行だけどね、大混乱ですよ。
ふだん、私の弟と親子ふたり暮らしなのだけど、
毎日弟の「困った」連絡を受け取り、相談し、
入院時は交代で病院に行き続け、
まぁ、その間、仕事も多忙だったわけで、疲れもし…
でもね、ほんとにマイッたのは、
いちばん母が弱っていたときに「こんな状態ならシンだほうがマシ」
と、ぼそっと呟かれたとき。
そりゃないでしょ、オカーサン。
多少、薬でボ〜っとしてたんだとは思うけど。
あまりの展開にヤケになるのはわかるけど(ほんとはわかんない)。
生きていてくれれば、と、
でも、本当に生きてさえいればいいのだろうか、
こんな辛そうな状態なのに‥と、
心の中で葛藤しながら密かに歯を食いしばっていたのに。
励ましの言葉も力を失って、夜の病院を後にするときの気分と言ったら。
今、母にその話をすると「そんなこと言った?」とシレッとしているが、
まぁ、死線をさまようほどの目にあったのだからと、
娘は心の奥底に小さく折り畳んだりするわけだけど。
ゆっくりとでも自分の足で歩けるようになった母を見ながら、
子どもたち(孫たち)の話を聞いて嬉しそうにする母を見ながら、
そっと感謝する私もいる。
よかった‥‥ことと言ったら、
将来また来るであろう状況に心を向けるきっかけができたことだろうか。
そして、私としてはもうひとつ。
病院からは駅までのシャトルバスが出ていて、
夜8時過ぎの最終バスに乗ると、他にもたくさんのひとが乗り込んでくる。
25人くらいかなぁ、みんな、だいたいひとりきり。
その時間に乗ってるのは、間違いなくお見舞のひと。
10分くらいの乗車中、みんな黙っている。
親か、きょうだいか、子どもか、連れ合いか‥‥
大事なひとが入院していて、面会時間ギリギリまでいたんだろうなと。
病室から出るときはひとりぼっちなのに、
決してひとりじゃないんだと感じる。
駅に着くと、ドライバーさんが「お疲れさまでした」と声をかけ、
皆、降りしなに「ありがとうございました」と応える。
バスを降りてそれぞれの方向へ足早に散っていくその足音の中で、
さぁ、がんばって家に帰って、明日も仕事に行こう。
そして、また見舞いに来るぞ。
って、背筋を伸ばせるような気がした。
ひとは共有が大事なんだって、あらためて感じた時間は、
私にとってありがたい発見のときでもあった。
これからの何かに生かせるといいな。
写真は、病室からの眺め。
気持ちによって、いろんな色に見えたけど、
空はいつも広かった。
by ashi-bann
| 2016-10-04 22:23
| 日記だかエッセイだか
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Comments(4)
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kearyioa at 2016-10-07 08:39
お疲れ様です。
いろいろ大変だったのですね。
経験を重ねるうちに、力の抜き所が分かって来るかもしれません。
いろいろ大変だったのですね。
経験を重ねるうちに、力の抜き所が分かって来るかもしれません。
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みかん
at 2016-10-07 16:52
x
大変でしたね。
季節は相変わらず落ち着きなく行きつ戻りつしていますので、どうぞあしばんさんも疲れが出ませんように。
親の老いや病を目にするのは応えるので本当にご自愛くださいませ。
私もいろいろあるたびに覚悟することも多く、遠くにいる分不甲斐なく思っているので、他人事というより共有という感覚に同感いたしました。
季節は相変わらず落ち着きなく行きつ戻りつしていますので、どうぞあしばんさんも疲れが出ませんように。
親の老いや病を目にするのは応えるので本当にご自愛くださいませ。
私もいろいろあるたびに覚悟することも多く、遠くにいる分不甲斐なく思っているので、他人事というより共有という感覚に同感いたしました。
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ashi-bann at 2016-10-10 01:12
*kearyioaさん
こんな愚痴のような記事にコメントいただき恐縮です(_ _;)
近いようでなかなか行けない実家のことを
放っておいたツケなのかなと自分も反省するところもあります。
これからはちょくちょく顔を出そうかなとも。
この経験を生かして、いい具合の力の抜きどころを見つけられると
いいなと思います。
こんな愚痴のような記事にコメントいただき恐縮です(_ _;)
近いようでなかなか行けない実家のことを
放っておいたツケなのかなと自分も反省するところもあります。
これからはちょくちょく顔を出そうかなとも。
この経験を生かして、いい具合の力の抜きどころを見つけられると
いいなと思います。
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ashi-bann at 2016-10-10 01:25
*みかんさん
もやもやを整理したいと思ってガツガツ書いちゃいました^^
コメントいただきほんとに恐縮です。
今回、悔いを残すことになるのではと凹んだときもありましたが、
どうなってもできるだけのことをしようと挑み(まさに挑み)ました。
結果、なんとか落ち着くことができましたが、
家族としても、個人的にもいい経験になったと思っています。
もやもやを整理したいと思ってガツガツ書いちゃいました^^
コメントいただきほんとに恐縮です。
今回、悔いを残すことになるのではと凹んだときもありましたが、
どうなってもできるだけのことをしようと挑み(まさに挑み)ました。
結果、なんとか落ち着くことができましたが、
家族としても、個人的にもいい経験になったと思っています。