2016年 03月 20日
映画 リリーのすべて
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この作品、以前からすごく観たいと思っていたので、
年度末の怒濤のスケジュールの中、あしこと一緒に行ってきた。
あらためて思えば、なんで観たいと感じていたのかな。
主演のエディ・レッドメインさんは話題になっていたけれど。
大人の繊細な心理の映画というイメージで、
映像も美しそうだなという興味からだったかな。
内容は、女性としての自分に目覚めてしまった男性とその妻の苦悩…
確かにね、その通り。
なんだけど。
テーマが異質で、リリーへの共感はその苦しみを想像できず。残念ながら。
奥さんへの共感は…もしかしたら結婚当初だったらできたかなぁ。
どちらかと言えばリリーはちょっと身勝手(もちろん彼女の苦悩を理解しようと
務めたうえでの話だけど)だなと思うところありで、
愛する夫を手放す…理解しようとする奥さんの心の動きの方がわかりやすかった。
彼らに生活感がなかったのも共感を損ねたかな。
野菜を切るシーンが一瞬出てきただけ。
芸術家(夫婦ともに画家)ってそんなものかもだけど。
それでも、じんわりゆっくり引き込まれたのは、
ハードな印象派(?)の絵画を鑑賞したというのに近いのかもしれない。
だから、共感できるところは少なくても「感じ」ようとするし、
彼らに幸せな落としどころを探してあげたくなってしまう。
これもある種の共感なのかな。
原題は「The Danish Girl」…デンマークの女性ってことでしょうか。
そう、映画全体に、リリーの望郷の気持ちが散らばっている。
故郷の風景をずっと描き続けてきたリリーは、
無意識に、自分のあるべき姿を生まれたその場所に求めていたんだろう。
そこに根を張って変わらず在るものへの安堵感と、
変わっていくものへの恐ろしさや不安定さの両方が、
全編にやんわりと横たわっているように思える。
リリーのすべて、という邦題は、久々にいいタイトルじゃないかなと思う。
エディさんの演技は、もう別格というか、
最後は「リリー」にしか見えなくて、
終わったあとも、しばらくあの女性の哀しげな顔が浮かんだ。
共感はしにくいのに、そこに“居そう”だと感じるってすごいことじゃないだろうか。
冒頭の風景が圧倒的に美しい。
大きく深呼吸したいような気持ちになり、
そして、同じ風景で終わるラストシーンがとてもよかった。
「Llet it fly」
あのシーンで、ちょっとだけ…救われ、幸せな気持ちになれたかも。
いい映画だと思う。
あのシーンで、ちょっとだけ…救われ、幸せな気持ちになれたかも。
いい映画だと思う。
by ashi-bann
| 2016-03-20 12:46
| 映画はいいね
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Comments(2)
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by
kearyioa at 2016-03-22 22:07
映画の中の生活感の扱いって難しいですよね。
出し過ぎても、そこはどうでもいいだろうと思うし、
全くなくても、そんな人はいないだろうと思うし、
日常を支えているものこそ、生活感だろうと思うし、
いろいろ、お忙しそうですね^^。
出し過ぎても、そこはどうでもいいだろうと思うし、
全くなくても、そんな人はいないだろうと思うし、
日常を支えているものこそ、生活感だろうと思うし、
いろいろ、お忙しそうですね^^。
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by
ashi-bann at 2016-03-24 22:56
*kearyioaさん
コメントありがとうございます。
例年の多忙が3倍くらいに膨れ上がりタオレソーです^^
映画の主題からすると…自分が作者だったら、
削ぎ落としてこういう形にするかもとは思うのですが。
ちょうどいい程度を客観的に演出するって難しいでしょうね。
でも、じんわりしみる作品でした。
コメントありがとうございます。
例年の多忙が3倍くらいに膨れ上がりタオレソーです^^
映画の主題からすると…自分が作者だったら、
削ぎ落としてこういう形にするかもとは思うのですが。
ちょうどいい程度を客観的に演出するって難しいでしょうね。
でも、じんわりしみる作品でした。