2011年 09月 19日
わたしのもと
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もの忘れのあとは、思い出のお話。
最近、高校の文化祭とやらに行ってみているのだが、
A高校の帰りに、どーしてもというあしおの声に負け、
裏手にある川に寄ってみた。
余談だが、最近すっかり釣りにハマっているあしおは、
川だの水面だのに速攻反応する。
今回も、A高校裏に川があると知り「僕もこの高校に行くーっ!」
はいはい。がんばって勉強してください。
で、けっこう大きなその川の、
河原というより「土手」って感じのそこに佇み、
(あしおが水面ギリギリで危なっかしいことやってる間に)
キラキラと流れる川面をぼんやり眺めていたら、
いきなり、ある記憶が蘇ってきた。
小さなころ、家の近くに大きな大きな川があって、
いつもその辺りで遊んでいた。
たぶん4歳くらいの私。
ある日、大事にしていた手毬くらいのピンクのビニールボールが見あたらず、
長い時間あちこちを探していると、
通り過ぎて行った小さな女の子が川を指差し、
「パパ、ボールが流れてるよ!」
ふと川に目を落とすと、私のピンクのボールが…。
「ああ、流れて行っちゃったね」
行っちゃったねじゃねーのよ!おとうさん!
あれ、ワタシのボールなのよ(T_T)
そう叫んだのは、可笑しいことに心の中だけ。
本当は「ああ!わたしのぼーる!」と叫びたかったのに、
流されて行ってしまったものの持ち主であることを、
なぜか知られたくなくて、
一見「あら、ほんとね」みたいな雰囲気をかもしながら、
ピンクが小さくなっていくのをじっと眺めていた。
心の中では、叫びたいほど哀しいのにね。
なんだろう、恥ずかしかったのかな。
いけないことをしちゃったと思ったのかな。
どう?ちびまる子ちゃん(←たまにあの子の性格とコワいほど類似)
あのとき叫んで泣いてたら、どうなったんだろう。
状況は何か違ったのかなぁ。
あの親子はどんな反応をしたのかなぁ。
その後、家に帰った私は、確か何も報告しなかったはず。
昼間の哀しい思い出は誰にも話さず、
だいぶ経ってから、無くしたことを母にサラリと言ったような。
川の色と、流れと、匂いと、空気。
それらはあんまり変わらない気がするのに、
時間はずいぶん経ったもんです。
あまり愉快な思い出ではないけれど、
こそばゆくも懐かしい自分の「もと」に会えたような、
残暑きびしい秋のはじめの午後でありました。
by ashi-bann
| 2011-09-19 02:04
| 日記だかエッセイだか
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Comments(2)
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eriarie at 2011-09-19 10:10
叫んだとしても、ボールは取れないし、
自分が、「ボールを失くした子」と確定するだけだし、
叫んでも無駄だな、
と、一瞬で考えたんだろうね。
写真、いいね。
自分が、「ボールを失くした子」と確定するだけだし、
叫んでも無駄だな、
と、一瞬で考えたんだろうね。
写真、いいね。
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ashi-bann at 2011-09-19 22:53
*eriarieさん
そうですね…幼いながらも、そんなことを考えたのかもしれません。
こうやって文字にしていただくと、もやもやしていたものが消えて
ちょっとすっきりした気分です。
それにしても、記憶の中のボールの「ピンク」の鮮やかなこと。
写真は今回行った土手の草花たちデス♪
そうですね…幼いながらも、そんなことを考えたのかもしれません。
こうやって文字にしていただくと、もやもやしていたものが消えて
ちょっとすっきりした気分です。
それにしても、記憶の中のボールの「ピンク」の鮮やかなこと。
写真は今回行った土手の草花たちデス♪