2009年 10月 29日
漫画 BANANA FISH
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読みました。
前回、吉田秋生さんのお話をした時に、
皆さんにお勧めいただいた「BANANA FISH」。
でも…あまり書けるようなことがない。
ってか…上手く書けない。
読了後、数日経っても、
まだ、薄い半透明の膜に包まれたみたいな余韻に浸ってる。
そっとしておいてほしい、なんて言葉が浮かぶほど浸ってる。
が、なぜか「どこがいい、あそこがこうだ」なんて言葉がすっと出てこない。
どう表現しても薄っぺらに聞こえるような気がするからだろうか。
いつもなら、満足した映画や本については、
何をおいても直ぐに気持ちを表現したくなるんだけど…。
もう、何だか調子が出ない。
本編はもちろんだが、
番外編、アナザーストーリィの「光の庭」にはヤラレた。
話半ばから涙が止まらない。
本編ではついぞ長くは続くことのなかった"静かな時間"に、
身体の底から切ない感情が湧き上がってきて、
何度読んでもつるつると涙がこぼれる。
それが哀しみだけでなく、微かな幸福感も含んでいたりする。
散々泣いて、暫く経ってからわかった。
私も、物語の人物たちと一緒に「彼」を失った時間を過ごしてるんだなぁと。
上手く言えないけれど(オソロシいほどの勝手を言わせてもらえれば)
同じ経験をした者たちと、気持ちをわかちあえたような。
感情移入という世界じゃなくて、「私も居る」感覚になった。
作中での、「彼」の一番大切だった人の台詞にもあるように、
「奇蹟のような " 生 "と一緒に過ごすことができたこと」
に、私も感謝したいなと…。
なんて言ったら、キザが過ぎるかなぁ。
同じ人の台詞、
「彼のかわりはどこにもいないよ、君のかわりがいないのと同じさ」
そのひと言にも、静かに静かに救われるような気がする。
途中、サリンジャーの「バナナフィッシュに最適な日」も読んでみた。
人が見ている、見えていると思っているものの脆さだとか、
「真実」とか「確実」なんて言葉のまやかしの象徴が、
バナナフィッシュなのかなぁと想像してみたのだけれど。
だめだ、やっぱり言葉が空回り。
まぁ、ホントにこの辺でやめておこう。
しばらくは、ただぼんやり浸っていよう。
上手く書けない…というのは、私としては最大級の賛辞のつもり。
とにもかくにも、完結から15年あまり。
遅ればせながらもこんな作品に出会えたことにこそ、感謝デス。
by ashi-bann
| 2009-10-29 23:29
| 本もすき
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Comments(4)
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れいん
at 2009-10-30 09:37
x
あ、現在、後遺症中でいらっさいますのね。
わかりますわかります。
これ読んだら数日はこの世に生還できすに彷徨いますもん。
未だ「光の庭」と聞いただけで、条件反射で目が潤むワタシ(笑)
例えば、こういった流れになる他のドラマだとか漫画だとかで
「彼は私の心の中にいる」なんてセリフをよく聞きますが
「ばななふぃっしゅ」に関しては、ホントにそう思うんですよね!
後遺症がじゅうぶん治まった後、よろしかったら「ばななふぃっしゅ おふぃしゃるがいどぶっく」も読まれてみて下さい。
キャラクター誕生の面白い裏話とかありました。(あま○ん中古で購入したヤツです)
出ばってスミマセン。ではまた、そっとしておきまする。お元気で。
PS:NY市立図書館での座談会メンバーにあしばんさんもぜひ・・。いつ開催するかは未定ですが。
わかりますわかります。
これ読んだら数日はこの世に生還できすに彷徨いますもん。
未だ「光の庭」と聞いただけで、条件反射で目が潤むワタシ(笑)
例えば、こういった流れになる他のドラマだとか漫画だとかで
「彼は私の心の中にいる」なんてセリフをよく聞きますが
「ばななふぃっしゅ」に関しては、ホントにそう思うんですよね!
後遺症がじゅうぶん治まった後、よろしかったら「ばななふぃっしゅ おふぃしゃるがいどぶっく」も読まれてみて下さい。
キャラクター誕生の面白い裏話とかありました。(あま○ん中古で購入したヤツです)
出ばってスミマセン。ではまた、そっとしておきまする。お元気で。
PS:NY市立図書館での座談会メンバーにあしばんさんもぜひ・・。いつ開催するかは未定ですが。
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ashi-bann at 2009-10-31 13:35
*れいんさん
はい、かなり重症でいらっさいます^^…どっかーんと来たんじゃなくて、
あとからじわじわ〜じわじわ〜とやってくるので始末がわるいです。
本編中でもぐっと涙をこらえたとこがいくつかありましたのですが、
あの番外編は反則っすよ…ふっふふ(←笑うほどヤラレてる)
ホントは、あそことあそこがイイよね〜とか、楽しいツッコミもあるの
だけど、果てなく収拾がつかなくなりそうなので。
いつか思い出に変われたら(おいおい^^)「ツボBEST10」ぐらいは
書けるよーになるかなぁと思いますです。
おふぃしゃるがいどぶっくも、無事に生還できたあかつきには^^
はい、かなり重症でいらっさいます^^…どっかーんと来たんじゃなくて、
あとからじわじわ〜じわじわ〜とやってくるので始末がわるいです。
本編中でもぐっと涙をこらえたとこがいくつかありましたのですが、
あの番外編は反則っすよ…ふっふふ(←笑うほどヤラレてる)
ホントは、あそことあそこがイイよね〜とか、楽しいツッコミもあるの
だけど、果てなく収拾がつかなくなりそうなので。
いつか思い出に変われたら(おいおい^^)「ツボBEST10」ぐらいは
書けるよーになるかなぁと思いますです。
おふぃしゃるがいどぶっくも、無事に生還できたあかつきには^^
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peanuts_miso at 2009-11-02 21:28
あぁ、本当に読んでみたくなりました。
説明をするのも、言葉を選ぶのも、全てが軽くて陳腐に感じてしまう位の作品なんでしょうね。
読んだ事がないのでこっちも言葉を選べないんですが、本当に読んでみたくなりました~。
説明をするのも、言葉を選ぶのも、全てが軽くて陳腐に感じてしまう位の作品なんでしょうね。
読んだ事がないのでこっちも言葉を選べないんですが、本当に読んでみたくなりました~。
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ashi-bann at 2009-11-05 12:31
*ちほさん
ゆっくりじっくり浸るはずが、関係イベント実施と子どもの熱騒動他が
続いてしまい、座ってるヒマもないここ数日でございまする。
でもね、机の前の扉を開けるとこの本の背表紙がずらっと並んでて、
それ見る度に「ふぅ」とため息つくくらいの立派な後遺症は患ったまま^^ なかなか今の時期は長編等読めないと思いますが、
いつか、かな〜り余裕ができたらぜひ読んでみて下さいね。
ゆっくりじっくり浸るはずが、関係イベント実施と子どもの熱騒動他が
続いてしまい、座ってるヒマもないここ数日でございまする。
でもね、机の前の扉を開けるとこの本の背表紙がずらっと並んでて、
それ見る度に「ふぅ」とため息つくくらいの立派な後遺症は患ったまま^^ なかなか今の時期は長編等読めないと思いますが、
いつか、かな〜り余裕ができたらぜひ読んでみて下さいね。